be動詞は助動詞??

 このタイトルを見て「うん、まぁそういうときもあるよね」と思った人は英語の先生か、英文法をしっかり勉強したことのある人だと思います。でも大半の人は、「は?何言ってんだこいつ」と思われるでしょう。
 というわけで今回は、be動詞は果たして助動詞と言って良いのかどうか考えたいと思います。

be動詞って助動詞なの?

 多くの辞書や文法書には、be動詞の項目に、「助動詞としての用法」が載っています。結論から言えば、進行形[be+~ing]や受動態[be+過去分詞]を作るときの[ be ]は助動詞とみなす、ということのようです。

[be doing] [進行形] a)…しているところだ

大修館書店『ジーニアス英和辞典第4版』

beには本動詞としての用法もあるが、助動詞としては次の用法(進行形・受動態)がある。

旺文社『ロイヤル英文法』

 いかがでしょうか。この記述に皆さんは納得できるでしょうか。私は全く納得できません!

be動詞が助動詞だと何がいけないの?

 「be動詞には助動詞としての用法がある」という記述に説得力がないのには2つ理由があります。
①文法書の記述があまりにも少ない。
②be動詞は助動詞の基本ルールを無視している。

の2点です。

①文法書の記述があまりにも少ない。
 手近に英語の文法書がある人は「助動詞」の項目で調べてもらえればわかると思いますが、be動詞の助動詞としての用法に関しては記述がほとんどありません。「そういう用法があるよ」という程度のことしか書いていないんです、ほんとに。

②be動詞は助動詞の基本ルールを無視している。
 問題としてはこちらの方がより深刻です。助動詞の使い方には一定のルールがあります。中学・高校で 一通り英文法を勉強した人なら、次の2つのルールは知っていることでしょう。
 A)助動詞の後ろには動詞の原形(原形不定詞)がくる。
 B)助動詞は2つ並べて使うことができない。

 この2つは誰でも知っているルールですが、be動詞はこの2つのルールを公然と無視しています。それぞれ例を見てみましょう。
 
A)He is playing soccer.
(彼はサッカーをしている)
 
 これは明らかにおかしいですよね。助動詞であるはずのbe動詞(is)の後ろに現在分詞(ing形)がきています。動詞の原形しか使えないはずなのに。

B)He will be playing soccer this time tomorrow.
(明日のこの時間、彼はサッカーをしているだろう)

 未来進行形の例です。なんと助動詞willと一緒に助動詞(?)beが使われています。
*She will can ride a bike in a week.のような表現は英文として成立しないのにこれは認められるのでしょうか。

 ここまで見てきたように、be動詞は助動詞のルールから大きく外れた使い方がされていながら、どの文法書をみてもそれがなぜ助動詞と言えるのか書かれていないのです。これでもbe動詞は助動詞と言えるのでしょうか。「俺が白と言ったらカラスも白くなるんだよ!」みたいな感じです。

じゃあ結局、be動詞って何なの?

 当たり前のことですが、be動詞は動詞です。もう少し言えば、主語の存在を表す動詞です。この「存在を表す」には、「ある」「いる」のほかに「どういう名前か」「どういう状態か」「どういう性質か」なども含まれます。

・She is in the kitchen.
(彼女は台所にいる)←彼女は台所で存在している
・She is angry.
(彼女は怒っている)←彼女は怒った状態で存在している
・She is tall.
(彼女は背が高い)←彼女は背が高いという性質を持って存在している

のような使い方をします。どれも彼女の「存在」に関わる表現です。

進行形のbeはどう捉えればいいの?

 be動詞が「存在」を表すのは進行形においても変わりません。先ほどの例で考えてみましょう。

He is playing soccer.(彼はサッカーをしている)

 isもplayingも動詞(っぽいもの)ですが、英語には「1つの文に(述語)動詞は1つだけ」というルールがあります。というわけで、isとplayingのうち、どちらかを「動詞」、もう一方を「動詞ではないもの」とする必要が出てきます。
 この文でisを助動詞とみなす人は、playingを動詞だと考えているようです。playは「(スポーツを)する」という意味の動詞だから、それにingを付けたplayingも当然動詞だろうと。で、playingは動詞だから、主語と動詞の間にあるisは助動詞、ということになるのです。「主語と動詞の間にある」というだけの理由でbe動詞を助動詞とみなしているのだとすれば、ずいぶん乱暴な理屈です。

「動詞の~ing形」は動詞じゃないの?

 動詞の~ing形(現在分詞)は形容詞です!
 「形容詞」というのは、angry(怒っている)やtall(背が高い)のように、名詞がどういう状態か、どういう性質をもっているか、などを説明するための語です。動詞の~ing形もこれにあてはまります。同じ例で見てみましょう。

He is playing soccer.(彼はサッカーをしている)

 Heは主語、isが存在を表す(述語動詞)、playing soccerは「サッカーをしている状態」です。つまりこの文は「彼はサッカーをしている状態で存在している」という意味になるのです(playingは形容詞と言いましたが、もちろん動詞から派生している語なので動詞の特徴も備えており、よって目的語soccerを取ることができます)。

まとめ

 いかがでしょうか。be動詞は助動詞としての用法もある、という考え方が英文法の世界では主流のようですが、そうではないかも、と思っていただけたでしょうか。
 進行形以外にも動詞の~ing形(現在分詞)を使う文の形は色々とありますが、そのいずれにおいても 現在分詞は動詞の派生形と考えるより、形容詞と考えたほうがすっきりと理解できます。具体的な例については別の機会に見ていきたいと思います。
 
 お読みいただきありがとうございました。

コメント

  1. おニャン子ポン より:

    素晴らしい御意見です。
    小生の日頃の悶々をスッキリさせて頂きました ♪
    小生もbe動詞+進行形を一つの動詞と見なす解釈には反対です。
    しかし、小生は進行形を形容詞と断定するのは、まだ思案中で、ただ補語であると考えています。
    今までSVと思っていたものが、実はSVCだったわけですよね!

  2. なおちゃん より:

    私がずっと思ってきたことと同じことを考えている方がいらっしゃって、ちょっと嬉しく思いました。

    分詞(現在も過去も)は形容詞と認識すれば、いろいろなことがすっきりと見えてくるんですよね、本当に。

    否定にしても、「動詞(助動詞があるときは助動詞)の後にnot」
    疑問にしても、「動詞(助動詞があるときは助動詞)と主語の倒置」(ただし、一般動詞の時は動詞の前に「隠れたdoがある」と想定する」
    とすれば、ルールは一本化できるように考えています。

    英文法の世界で「3単現のs」について、「sを加える」と教えていると思いますが、歴史的に見れば3単現のs「だけが、痕跡として残っている」と認識するほうが正しいのではないかとも考えています。まあ、教える側に立てば、形式的に「ここだけ加える」とするほうが楽チンでしょうが、、、

    いずれにしても、現在の初歩の中学英語の教え方には多大なる問題があると考えています。

タイトルとURLをコピーしました