現在完了の【have】は助動詞?

【have+過去分詞】で表される現在完了。日本語で完全に同じ概念を表すものがないので、苦手な人が多い文法項目です。完了形そのものについては別の項目で説明するとして、今回は完了形に使われる【have】の品詞について考察してみようと思います。

多くの文法書や参考書で、「完了形の【have】は助動詞だ」と書かれています。しかし私はこの説明に納得がいかず、むしろこの【have】は動詞だととらえた方がスッキリ説明ができるのではないかと思うのです。この項目では主にその理由を述べていきます。

文法書等の記述

完了形の【have】は参考書ではどのように扱われているのでしょうか。

have(助動詞)過去分詞を伴って現在完了形、過去完了形、未来完了形を作る。

数研出版 チャート式 基礎からの新総合英語

記述はたったこれだけしかありません。「haveは助動詞だから、そういうことでよろしく」そんな感じです。

助動詞じゃダメなのか?

「参考書がそういうなら助動詞なんでしょ」と済ませようとする人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。

助動詞には守らなければならないルールがあります。

①現在形でも主語の人称・数によって変化しない
②助動詞には動詞の原形が続く

①は例えば

I can swim.
「私は泳ぐことができる」

が主語が”She”になったからといって

✖She cans swim.

にはならないよね、という話です。

ところが現在完了では、例えば

I have finished the work.
「私はその仕事を終えてしまった」

の主語が”She”になれば、haveも

She has finished the work.

と変化します。助動詞の使用のルールに明確に違反しています。

また、②助動詞の後ろには動詞の原形が来るのがルールですが、完了形の文では

I have finished the work.
「私はその仕事を終えてしまった」

と、当然のように過去分詞が置かれています。

これでもまだ「haveは【助動詞】だ」と言えるのでしょうか。

参考書等では「一部の助動詞は他の助動詞とは違う(be, have, doのことです)」と記述しているものもありますが、それってどうなんでしょうか。なんでもかんでも例外を作るのはスマートじゃないと思いませんか。ここは助動詞のルール(主語によって変化しない・後ろには動詞の原形が来る)に則った形で解釈したいものです。

過去分詞はどうするのよ?

haveを動詞と捉えればすべて解決するのでしょうか。そんなことはありません。

haveの後ろに来る過去分詞はどうするのか、という問題が残ります。

haveが動詞であれば【動詞の過去分詞形】を続けることはできません。

英語には「1文につき述語動詞(メインの動詞)は1つ」というルールがあるからです。

haveも動詞、過去分詞も動詞、では英語として成り立たないんですね。

ただ、これは過去分詞が【動詞】だったら、という前提の話です。

実は【過去分詞】というのは、【動詞】ではありません。過去分詞は動詞から派生しており形も動詞によく似ているので【動詞】のようにとらえられがちですが、

【過去分詞】は【形容詞】です。

これについてはまた項目を改めて書きますので、ここでは「過去分詞は形容詞」ということだけ頭に入れておいてください。

完了形の構造

こうなってくると、少し出口が見えてきたような気がします。完了形の文の構造を見てみましょう。

I have finished the work.
「私はその仕事を終えてしまった」

の文構造は(S)I (V)have (C)finishedの第二文型となります。the workの部分は(M)です。

(SVCやMが何か分からない人はこちらを先に読んでください)

第二文型と言えば

She is a student.
「彼女は学生だ」

とか

He got angry.
「彼は怒った」

のように、主語がなにか、どういう状態であるかを示す文型ですね。

【have】の意味

現在完了が第二文型だとすると、haveの意味はどう解釈すれば良いでしょうか。日本では完了形は①完了②経験③状態の継続 の3つの用法があるとされているので、それぞれについて見ていきましょう。

完了

I have finished the work.
「私はその仕事を終えてしまった」

I have finished までで「私は(何かを)終わった状態にしている」という意味が出来上がっています。ここから考えると、完了の意味で使うhaveは「~を…の状態として持っている」という意味だと捉えられます。makeのように単純に「~を…の状態にする」のではありません。ある状態にして、それをキープすることです。

経験

I have visited New York three times.
「私はニューヨークを3回訪れたことがある」

これは分かりやすいですね。「~の経験を持っている」という意味です。ニューヨークを訪れたこと自体は過去の話でも、「経験を持っている」のは現在の話です。「私は(過去に)ニューヨークを3回訪れたことがある(だから現在、ニューヨークについてはある程度知っている)」のような、「現在はどうなのか」ということまで(明示的にではないにせよ)表せるのが現在完了なのです。

状態の継続

I have lived in New York for three years.
「私はニューヨークに3年間住んでいる」

これも経験に少し似ています。「ニューヨークにすんでいる」という状態を3年間キープしています。完了も「ある状態をキープすること」でしたが、完了は1回の動作が終わった状態であることに対し、状態の継続では過去の1点(例文では3年前)において始まった状態(住んでいる状態)が現在までずっとキープされています。

最後に

いかがでしょうか。完了形のhaveは【助動詞】ではなく【動詞】だと考えられるようになったでしょうか。

「いや、そうはいってもやっぱりhaveは助動詞で、過去分詞の方が動詞でしょ」と思われる方も多いでしょう。実際その方が文の意味としては捉えやすいと思います。意味の上で重点が置かれるのはどう考えてもhaveではなく過去分詞のほうですから。

ただ、参考書や文法署に書かれていることをそのまま無条件に信じるのではなく「本当にそうなのか?」「別の解釈はないのか」と考えてみることも大切ではないかと思ってこの項目を書きました。さいごまでお読みいただきありがとうございました。

関連項目

be動詞は助動詞?

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